親知らずとは
親知らずは永久歯の中で一番最後に出てくる歯で、第三大臼歯・智歯とも呼ばれています。生えるスペースがない場合には、顎の骨の中に埋伏したまま出てこないこともありますし、一部だけが出てくることもあります。また、横向きに生えて隣の歯を押してしまうケースもよくあります。
親知らずは人類が火を使うようになってやわらかい食物を習慣的に食べるようになり、顎が十分に発達しなくなって正常に生えてくるだけのスペースがなくなったことでトラブルを起こしやすくなっています。この傾向は近年になって加速しており、現在は左右4本の親知らずのうち1本以上欠如しているケースが30%にもなります。そして親知らずがある場合には、かみ合わせや歯並びへの悪影響、歯垢や歯石がたまりやすく口内環境の悪化、痛みや炎症などリスクの高い状態がほとんどだと言えます。大事な場面で大きなトラブルを起こさないように抜歯をおすすめするケースも多いのですが、健全な親知らずの場合には将来的に抜けた歯のスペースに移植できる可能性もあります。そのため、慎重な見極めが重要になってきます。
抜いた方がいい親知らずと抜かない方がいい親知らず
抜く方が望ましい親知らず
歯肉から少しだけ出ているが、それ以上生えてこない
斜めや横に生えた親知らずは一部だけしか生えてこないケースが多くなっています。隣の歯や歯肉との間に複雑で深い溝ができるため、歯垢や歯石がたまってむし歯や歯周病を起こす原因菌の巣窟になり、親知らずだけでなく周囲の歯へのリスクも高まります。
親知らずが隣の歯を強く押すことで、前歯まで歯並びが乱れてしまう
絶えず隣の歯に親知らずからの力が加わることで歯が動いてしまい、前歯の歯並びまでデコボコにしてしまう可能性があります。
周囲に嚢胞がある
埋もれて表に出てきていない親知らずの周囲に袋状の嚢胞ができることがあります。嚢胞が細菌感染を起こすと腫れや痛みを起こすことがあります。
舌や歯ぐき、頬の内側の粘膜を傷付ける
親知らずは上下の歯がかみ合うことで成長を止めるため、もう片方が生えてこないと成長を続けて何度も粘膜を傷付けることになります。また、傷付けないように噛む癖が付いてしまうと、顎関節症の原因にもなります。
むし歯や歯周病が進行している
一番奥で歯ブラシが届きにくく、舌の根本は触れると強い嘔吐感が起こるため親知らずは清潔を保ちにくい歯です。親知らずのむし歯や歯周病を繰り返す場合、口内全体にも原因菌が大量に存在する状態になってしまい、むし歯や歯周病リスクを高めてしまいます。
抜く必要がない親知らず
- きれいに生えて、上下がしっかりかみ合い、機能を果たしている
- 隣の歯を押さず、歯並びを乱さない
- 歯磨きなどのホームケアで問題なく手入れができている
- 一部だけしか生えていないが、問題を起こしていない
- 骨の中に埋まっていて、問題を起こす可能性がほとんどない
- 嚢胞などもなく、腫れや違和感が少ない
- 将来、ブリッジの支え、治療や矯正で行う抜歯後の移植に使用できる見込みがある
いそむら歯科医院での親知らずの抜歯
親知らずが生えてくる部分は顎関節に近く、周囲には太い血管や神経が通っています。そのため、いそむら歯科医院では歯科用CTを用いて、3次元的に親知らずがどのように顎に埋まっているかを正確に分析・診断しています。また、痛みを極力少なくするために、抜歯では超音波機器を用いています。これにより、安全でスピーディな親知らずの抜歯が可能になっており、患者様のお身体やお気持ちへの負担も軽減しています。
親知らずの抜歯で来院されるほとんどの患者様が、周囲のご友人に恐怖心を煽られて不安な気持ちでこられます。
抜歯で使用している超音波機器(ピエゾサージェリー)は、骨などの硬組織以外は基本的に切ることができません。そのため施術部の切開を比較的最小限に留め、術後の腫れを抑えることができ、神経や血管、歯肉などの軟組織にダメージを与えることなくスピーディに抜歯することができます。
どんな親知らずでも100%抜歯できるとはお約束できませんが、難症例の場合には信頼できる大学病院などをご紹介しています。親知らずにご不安やお悩みがある場合には、1度いらしてください。
抜歯後の歯を利用した移植
親知らずの抜歯をせずに温存した場合、下記のような治療に利用できる可能性があります。
むし歯や歯周病で歯を失ったケース
欠損部分に親知らずを移植できる可能性があります。
また、親知らずの隣の歯を失った場合には、親知らずをブリッジの支台として使用できる場合があります。
歯列矯正治療のケース
歯列矯正で抜歯し、親知らずを手前に動かして歯並びとかみ合わせを整えることができる可能性があります。
抜歯後の注意点
親知らずの抜歯は「痛い」イメージを持っている方が多いのですが、麻酔をしますので抜歯の際の痛みはありません。麻酔注射時の痛みも軽減できるよう細心の注意と工夫を用いて行っていますのでご安心ください。
また、いそむら歯科医院では超音波機器を使用することで軟組織へダメージを与えない抜歯を行っていますので、術後の痛みもかなり軽減されています。さらに、歯科用CTによる精密な診断と超音波機器を用いることで抜歯にかかる時間も短くなり、ダメージが残りにくくなっています。それでも抜歯後の状態は傷口ですから、麻酔が切れてしまう前にお渡しした痛み止めを服用することで、できるだけ痛みを軽減するようにしてください。